重機や資材を丁寧に扱ってもらうには?
保管状態の「見える化」が要

Q

当社は重機を利用する工事が多く、それに付随する道具や金物などを倉庫に備えています。しかし、従業員による重機や材料の扱いが粗雑で、故障や破損が頻発しています。そのうえ、その報告もありません。資機材の管理を従業員に徹底させるには、どうすべきでしょうか。

A

前回は道具の管理や破損を防ぐための改善方法をご紹介しました。今回のご相談は重機の取り扱いということですので、問題はより深刻でしょう。

私は仕事柄、多くの建設会社を訪れますが、その際は必ず事務所の裏にある重機や材料の置き場を見せてもらうようにしています。保管場所は「会社の素顔」であり、その会社の歴史も感じられる場所だからです。

重機や材料を大切にしているか否かは、資機材置き場を一目見ればわかります。そして、整然と保管されている会社の方が、より高い信頼を勝ち得ているのはいうまでもありません。

資機材を大切にする会社には、三つの共通項があります。
第一に、倉庫のどこに何が置いてあるかを紙などに明示し、貼ってあること。第二に、『使用したら戻すこと』といった掲示があり、資機材の入出庫ノートが置いてあること。そして第三に、倉庫内がきちんと整理され、数量が数えられるように見やすくなっていること。
つまり、資機材を乱雑に積み上げたり、奥へ押し込んだりする粗雑な保管をしていないということです。

対照的に、管理が疎おろそかな会社は、定位置すら決まっていません。ルールがあっても形骸化し、誰も注意しないため乱雑さが加速しています。「いつ・誰が・何を」持ち出したかの記録もなく、社員が片付けを“面倒な作業”と捉えて放置している。これは管理者の不在であり、従業員の意識の欠如に他なりません。

こうした管理不全は、経営に甚大な不利益をもたらします。私が相談を受けたある企業では、在庫が不明瞭なために、既に所有しているものを重複して800万円分も新規購入したり、所有している重機をリースで借りてしまうなど、大きな損害を出していました。

また、入出庫記録が不透明では、どの重機がどの現場で稼働中なのか把握できません。これでは新規案件を受注しても、重機の投入計画が立てられなくなります。稼働日数が不明確なら整備予定も組めず、現場で故障するなどの事態を引き起こしてしまうでしょう。元請けへの点検表提出に関しても、履歴の不備や修理の放置が露呈すれば、会社としての管理責任を厳しく問われることになります。

このようなことにならないように、まずは次の取り組みからはじめてみましょう。

1.保管場所の可視化
資機材の配置をイラストで明示し、保管場所に貼っておくこと

2.当番制による巡回
保管責任者を当番制にして、2人ずつ帰り際に見回ること

3.定期報告の習慣化
1週間ごとなど定期的に倉庫の管理状況や入出庫記録を当番が発表(報告)すること

こうした活動を地道に実行すれば、整理整頓の上手ないい会社になります。経営者や幹部が飽きることなく、現場に言い続けることが何より大切です。


構成=吉村克己 イラスト=丸山哲弘

解説

中村秀樹(なかむら・ひでき)

ワンダーベル合同会社 建設コンサルティング&教育
名古屋工業大学土木工学科卒業。大手ゼネコンにて高速道路、新幹線の橋梁工事などに従事。
建設マネジメントの実践、建設技術者教育で活躍。